鉄道模型の基本(1)

鉄道模型
カピの塚
鉄道模型の基本(1)
おはようございます。
カピの塚です。

今日は静岡でホビーショーが開催されておりますが、
レポートのほうは後ほどアップされると思いますのでしばしお待ちください。

それでは先に鉄道模型のお話です。


鉄道模型とは、ある一定の縮尺ならびに線路幅(=レールとレールの間隔。軌間、ゲージ)によって規格化された鉄道車両および線路や関連設備などの模型のことを指します。また、鉄道の周囲に構成される、建造物、自動車、動植物、人間などを表現した模型も広義で含まれます。

どういうことかと、と申しますと。

線路と軌間についての説明図。

列車は線路が無ければ走れません。線路はどんな長さであっても、線路幅は一定でなければなりません。自動車ならどんな道幅でも通れれば問題ありませんが、鉄道においては線路の規格は必須です。

仮に、鉄道模型を楽しむ人がそれぞれ適当に線路幅を決めて、適当に車両を作ったとしても、他の人が同じ規格を採用しなければ、同じ線路上で一緒に走らせて遊ぶことは出来ません。ということです。

各ゲージの車輌の比較(ワム80000の場合)
左から順に、1/80スケール(Aclass)1/150スケール(河合商会)1/220スケール(PRMLOCO)

この写真は、ワム80000形という貨車を並べたものですが、同型の貨車でありながらそれぞれ規格が異なります。ずいぶんと大きさが違うのがお分かりでしょうか。鉄道模型の規格にはいろいろありますが、日本で主流となっているこの3つの代表的な規格をご紹介しましょう。


Nゲージ

Nゲージの線路拡大写真。

概要:
線路幅:9mm
縮尺:1/148~1/160

日本の主なメーカー:
KATO(カトー/関水金属)、TOMIX(トミックス/トミーテック)、MICRO ACE(マイクロエース/旧有井製作所)、
GREENMAX(グリーンマックス)、MODEMO(モデモ/ハセガワ)など

これから始めるならこの商品がおすすめ(一例):
車両、コントローラー、基本的なレールを一まとめにしたセットがあります。
KATO スターターセットスペシャル N700系新幹線 「のぞみ」
KATO アムトラック P42 スーパーライナー スターターセット
TOMIX ベーシックセットEX 0系新幹線セット
TOMIX ベーシックセットSD E231 山手線II

線路幅が9mmなので、「Nine」の頭文字と線路幅を示す「Gauge」を組み合わせて「Nゲージ」と呼びます。線路に関係がない同縮尺の模型については「Nスケール」などと呼ぶ場合もあります。

欧米の国々では車体の縮尺に1/160スケールが採用されており、これが世界的には一般的な規格となっています。
日本型の場合、在来線は1/150スケール、新幹線は1/160スケールで模型化されています。台湾型も日本と同じ縮尺だそうです。
なお、英国に限っては1/148スケールとなっています。日本型在来線の1/150スケールに非常に近い縮尺です。

縮尺は違っても、線路幅や電気方式は基本的に統一されているので、国籍、地域、時代を問わず、古今東西多種多様な列車を同じ線路上で走らせることができます。これがNゲージの魅力のひとつとなっています。

現在の日本では一番普及している規格といっても過言ではありません。これは日本の住宅事情が関わっている関係で、HOゲージよりもNゲージのほうがあまり広くない部屋でも遊べる可能性があるからです。1車両あたりの長さが14cm、手のひらにちょうど乗る大きさです。ユーザー数もメーカーも多く、実質的に鉄道模型で一番入手しやすい環境が整えられています。ホビーサーチでの商品登録数は、2010年3月現在で8400以上ありますが、市場で流通している商品の種類はホビーサーチで確認できていない分を加えるともっと沢山あります。

ミリタリー関連のプラモやガンプラに1/144スケールがありますが、これも広義ではNゲージの範疇に含めても差し支えない縮尺と言われています。日本型Nゲージから見れば近い縮尺ですからね。しかし、欧米型Nゲージとはだいぶ差が開いてしまいますので、並べる規格によってはNゲージの範疇には含められない場合もあります。

なお、9mm幅の線路を使っていても、車体の縮尺が1/87の場合は「HOナロー」、同じく1/120の場合は「TT9」というように、呼称がNゲージではなくなります。


HOゲージ

HOゲージの線路拡大写真。

概要:
線路幅:16.5mm
縮尺:1/80~1/87 ()

日本の主なメーカー:
KTM(カツミ)、ENDO(エンドウ)、Tenshodo(天賞堂)、IMON(モデルス井門)、
KATO(カトー/関水金属)、TOMIX(トミックス/トミーテック)など

これから始めるならこの商品がおすすめ(一例):
KATO (HO) ユニトラック線路セットKATO パワーパック スタンダードSお好きな車両

語源は、「Oゲージの半分」という意味の「Half O Gauge」を略してHOゲージ。海外では「HO」(エイチ・オー)ではなく「H0」(エイチ・ゼロ)という表記をする場合もあります。
欧米の国々では1/87スケールです。欧米では最も普及している鉄道模型の規格です。
日本型では、だいたい1/80もしくは1/87のいずれかを採用しています。()

Oゲージより小さいですが、Nゲージよりは大きいので、完成品車両であれば精密な再現度や重量感にはぜひ注目しておきたいところです。組み立てキットでも、車体から、手摺り、警笛、内装の座席まで、一つ一つの部品に細かく分かれており、スケールプラモと同様に完成させるまでのプロセスを楽しめます。どこまで作りこむかはユーザー次第となります。

しかし、生産数に限りがあるほか、商品そのものが高価であること、取扱い店の数などを踏まえると、日本での入手環境はNゲージに比べると狭まってしまいます。商品の種類はNゲージよりも細かく、先述の通りさまざまな部品が存在する為、商品の種類で言うとNゲージより遥かに多いと思われます。ホビーサーチでの商品登録数は、2010年3月現在で1200以上です。ホビーサーチでお取扱いしていない商品を加えれば、もっともっと多い種類の商品が市場で流通していると思われます。


※注釈
線路幅が16.5mmゲージで、車体の縮尺が1/80スケールの日本型車両となりますと、「16番ゲージ」という呼び方になり、厳密に言うとHOゲージではないそうです。そのため、16.5mmゲージに対応した日本型鉄道模型の多くは「16番」に属することになり、実質的に日本で一番普及しているHOゲージに近い鉄道模型は16番となるわけです。

でも、線路幅を主体として考えれば、縮尺は異なっても同じ16.5mm幅の線路で遊べることに変わりはありません。共通の線路であれば、さまざまな列車を走らせることができます。

これらの解釈については、各方面で議論が現在でも続いており、HOゲージまたはそれから派生した規格はいくつも存在しています。車体の縮尺を合わせるか、線路幅を合わせるか、という部分がその論点になっているようです。



Zゲージ

Zゲージの線路拡大写真。

概要:
線路幅:6.5mm
縮尺:1/220

日本の主なメーカー:
PRO Z (東京マルイ)、PRMLOCO(クラウンモデル)、REAL ZJ(プラスアップ/旧アキア)など

これから始めるならこの商品がおすすめ(一例):
PRMLOCO EF64 1000 コンテナ列車 スターターセット
PRO Z 山手線 エントリーセット (E231-500 通勤型) (レール+4両セット)

語源はこれ以上小さな鉄道模型は出現しないであろうという意味を込めて、アルファベットの最後のZを名称に冠したものといわれています。

3~4年ほど前までは、世界最小の鉄道模型と呼ばれていた規格です。欧米型であっても、日本型であっても、共通して縮尺は1/220スケール、線路幅は6.5mmゲージという規格が採用されています。日本型では一部メーカーにおいて「ZJゲージ」という呼称も存在していますが、基本的にZゲージと規格は同じです。()

なんといっても、世界最小の鉄道模型規格の一つですから、少ないスペースで遊ぶこと最大の魅力です。楕円形の単純な線路配置なら、食卓のテーブルの上でも、こたつの上でも、勉強机の上でも、十分に列車を走らせることができます。また、完成品が主流の世界なので、キットの作成や改造といった手を加える作業よりも、買ったその日から遊ぶというのが主体となります。

従来、日本におけるZゲージは、HOゲージやNゲージと比べてユーザーが圧倒的に少ない規格でした。しかし、2005年頃から幾つかのメーカーが製品の開発・発売に乗り出した関係で、少しずつ世界が広がりつつあります。

ホビーサーチでの商品登録数は、2010年3月現在で150程度と小さな規模ですが、今後さらに広がるかもしれません。

なお、1/220スケールという縮尺、鉄道模型以外では採用されていないのではないかと思っていましたが、城や帆船のプラモデルに僅かに存在(→こちら)している他、一部のガンプラ(→Zガンダム)などに存在しています。

※注釈
ここまで小さくなると、先述のHOゲージなどで起きている議論はあまり関係が無くなってしまうようです。在来線と新幹線、欧米型と日本型というふう基準で縮尺や線路幅を分ける必要性があまり無いのでしょう。


その他
その他に有名な規格の一例です。

Tゲージ
線路幅:3mm
縮尺:1/450

語源は、Threeの頭文字から。2009年現在で世界最小の鉄道模型規格。
栄進堂が発表した驚愕の規格でした。
車両のモーターは携帯電話のバイブレーター用と思われる小さなもので、
車両には車輪の粘着力を増す為に磁石が入っていました。
同スケールで一緒に楽しめる他のジャンルの模型は、城や戦艦のプラモなど。

▼Oゲージ
縮尺:1/43~1/48
線路幅:32mm

HOゲージが子分なら、Oゲージはその親分です。
1/43はミニカー、1/48はスケールプラモで見覚えがあるかと思いますが、
これらは鉄道の分野ではOゲージに属する縮尺なんです。
※もともと1/43スケールのミニカーはOゲージのアクセサリーとして始まったらしいです。
日本型は1/45ですが、線路幅を24mmにした場合はOJゲージと呼ばれます。

Gゲージ
線路幅:45mm
縮尺:1/22くらい~1/29くらい

ドイツで盛んな規格。語源はドイツ語のGross(大きい)の頭文字から。
縮尺を大雑把に書いたのは、線路幅45mmなら縮尺はなんでもOK?…だからです。
大きな鉄道模型なのに意外に省スペースで楽しめるというのが特徴。
耐久性があり、庭園鉄道として使用できる製品もあります。
ちなみに、1/24スケールのミニカーやプラモデルはこの仲間に入ったとしても違和感が無さそうです。



以上のように仰々しく書き綴りましたが、ブログのスペースの都合上、少々大雑把に説明しております。なお、私自身も勉強不足で一部に勘違いや誤解を招く表現が含まれているかもしれませんので、何卒ご容赦を。

また、線路幅の話はまた別の記事の時に取り上げることにしましょう。


各ゲージの車輌の比較(ワム80000の場合)
左から順に、1/80スケール(Aclass)1/150スケール(河合商会)1/220スケール(PRMLOCO)


担当:カピの塚@ややこしや~ややこしやっ。
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