【空飛ぶ棺桶】久々のオスプレイ【未亡人製造機】

プラモデル
トメ子
【空飛ぶ棺桶】久々のオスプレイ【未亡人製造機】
いいとこどり、という言葉があります。
上手くいけば美味しいのですが、
中々上手くいかないのが世の常というもので……。

ごきげんよう、トメ子です。
今日はそんな「いいとこどり」を目指した航空機についてお話しましょう。


V-22 オスプレイ
海のものとも山のものともつかぬ空のもの(何)

結構前に出たキットですが、超久々に再販が掛かりました。
残念ながら数が限られているので、気になる方は早めの予約をオススメします。

飛行機ともヘリコプターともつかぬ珍妙な外見。
攻殻機動隊や映画版トランスフォーマー等、
ミリタリー色の強い作品で見かけた方もいらっしゃるかもしれません。

V-22 オスプレイ。
アメリカ海兵隊と空軍が所有する、VTOL輸送機です。

さて。
詳しい説明の前に、ヘリコプターと固定翼機(※翼のある一般的な飛行機と思って下さい)についてちょっとだけお話しましょう。
この二つにはそれぞれ長所と短所があります。


■ヘリコプター
○長所
・垂直離着陸ができるので、長い滑走路は不要。
・回転翼の広さが確保できれば良いので、省スペース。
・ホバリング(空中で停止すること)可能。
・超低空で地形に沿って飛行可能。
×短所
・航続距離が短い。一度に遠くまで行けない。
・移動速度は固定翼機に劣る。

■固定翼機
○長所
・航続距離が長い。
・高速移動に適している。
×短所
・離陸には滑走路が必要。
・翼の分だけ場所を取ります。
・ホバリング不可能。一箇所に静止できません。


そんな違いのある両者ですが、これらのいいとこどりを狙って生まれたのが、このV-22 オスプレイです。
オスプレイとはミサゴという猛禽類のことで、いかにも軍用飛行機らしい愛称ではあります。

オスプレイ、分類上はティルトローター機と呼ばれております。
ローター(回転翼)を傾ける(ティルトする)という意味ですね。

ボロ写真ですみませぬ…

胴体の左右に固定翼、更に固定翼の端に回転翼を設けた形状をしています。
で。この回転翼部分が上向きになるか、前向きになるかで、
ヘリコプター風に飛ぶか、固定翼機風に飛ぶか選択できるようになっています。

回転翼は互いに連結されており、もし片方のエンジンが停止しても、もう片方のエンジンが動力を伝えてやることで常に両方の羽が動くように出来ているそうです。

第二次世界大戦の双発機パイロットの中には、片方のエンジンが停止してもふんばって帰還する、という剛の者も居たとか居ないとか聞きますが、流石に現代の飛行機は安全性が違いますね。

開発初期の段階では、回転翼を傾けた時の姿勢制御が難しい等の問題もありましたが、
現在では強襲揚陸艦ワスプに搭載されたり、イラクに配備されるなど、最戦線で活躍しています。

将来的には輸送機のみならず、救難型や特殊作戦型をはじめ、
空中給油型や早期警戒型として運用しようという計画もあるそうです。
……予定は未定ですけれども。

ちなみにこちらのキット、完成状態の写真を見る限り、
ヘリコプター形態しか再現できなさそうですが
改造すればローター部の可動もいける……かもしれません(希望的観測)。

現状、オスプレイをキット化しているメーカーはそう多くないので、
イタレリさん以外にもバシバシ参入して欲しいものです。
(イタレリさんは基本、パーツ数少なめに作るそうですし)


そんなこんなでとりとめの無い内容で恐縮ですが、本日はこれにて!
来週もホビーサーチをよろしくお願い致します。


担当:トメ子@失敗を乗り越えて、技術は進化するんだ。













(゚∀゚)与太話:V-22実用化までの経緯(゚∀゚)

このオスプレイ、実用化までの道程は厳しいものでした。

世界初に等しいティルトローター機の開発は1980年代初期まで遡ります。
しかし予算の関係から初飛行は1989年まで遅れ、一時期は開発中止という話すら出ました。

それでも計画自体はなんとか維持されますが、V-22開発における一番の問題は
試作機段階、初期生産段階において墜落事故を重ねてしまったことです。

作られた試作機は全部で5機。
そのうち1機は飛行直後に墜落。乗員2名は幸い脱出できました。
もう1機は飛行中にエンジンから出火。こちらの乗員7名は全員亡くなってしまいました。
この段階で試作機が減ったことも計画の遅れに繋がったとされています。

更に初期生産段階でも事故は続きました。
2000年4月、兵員輸送の試験中に墜落事故を起こし、乗員19名全員が死亡。
同年12月、今度は夜間飛行中に墜落。乗員4名が亡くなっています。


犠牲者の数は30人に上る為、一時期は「未亡人製造機」などという酷い渾名も付きました。
一時期はVH-3の老朽化に伴い、海兵隊要人輸送ヘリコプターの候補にも上がりましたが、事故が相次いだことから早々に脱落しています。

と、まぁ……不名誉な開発経歴を持つオスプレイ。
事故が多いのは確かですが、犠牲者の多さは輸送機という性質もあると思うのです。
(一度に10人以上の乗員が亡くなるというのは、戦闘機では在り得ませんし……)

それまでに無かった機構を実用化しようとするわけですから、失敗だって付き物です。
だからって墜落していいというわけでは無いのですけれど。


事故の原因は様々でしたが、それらも今では克服されています。

民間でもティルトローター機の開発が進んでいるようですし、
今後もこのテの機体が続々生まれてくると面白そうですね。
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