こんばんは、カピの塚です。
「旅行はクルマで出かけるか、列車で出かけるか、どっちにしようか」
なんて悩んだことがある方もいらっしゃるかと思います。
旅先への移動手段をどちらか片方に絞る、
という場面はよくあることではないでしょうか。
クルマが好きならクルマで行けばいいじゃなーい?
電車が好きなら電車で行けばいいんじゃなーい?
いや、両方好きなんだけどどうしたら?
という方にぜひ乗っていただきたい列車があります。
それが、「カートレイン」です。
カートレインとは、乗客と自動車をいっぺんに運ぶ列車のこと。
自動車を“手荷物”として貨車に積み込み、
乗客は一緒に連結されている客車に乗り込んで、目的地に向かうわけです。
図に表わすとこんな感じです。
左の先頭を機関車、左から2両目と3両目は客車、
4両目と5両目は自動車を乗せるための貨車。
(実際は貨車がもっと長く連結されています)
日本においては、国鉄・JRにて臨時列車として運行されていました。
一番最初に始まったのは、東京の汐留駅と福岡の東小倉駅を結ぶ列車です。
自宅から自動車で出発して汐留駅へ。
夕方、自動車をフォークリフトで貨車に乗せてもらい、
あとは客車内にてくつろぐ。
列車は東海道線と山陽線をひた走り、
翌朝、東小倉駅に着いたら自動車を引き取って九州ドライブ開始。
観光地や温泉地など九州をじっくりドライブして周ったら、
東小倉駅で自動車を預けて、客車でぐっすり。
翌日に汐留駅に到着したら、自動車で家に帰る、となります。
高速道路の渋滞なんか華麗にスルー!
列車内での移動中はしっかり体力も温存できます。
旅行先でも慣れた自分の愛車で旅が出来ます。
ついでに一般の列車とは違う駅(特に貨物駅)から乗れるというレア体験もできます。
カートレインは国鉄時代の1980年代半ばより運行が開始され、
当初は大変人気があったそうです。
元祖「カートレイン」は、「カートレイン九州」に名前を変え、
その他にも行先によってカートレイン北海道などのいくつかの列車が誕生。
国鉄がJRになった後もしばらくは運行されていました。
客車には20系、14系、24系といった車両が使われていましたので、
ブルートレインに乗ることと実質的に同じです。
「俺も将来、マイカーを持ったら、
カートレインで九州や北海道へ旅行に行くんだ…!」
なんて思っていた時期が私にもありました。
残念ながら1990年代のうちに運行は終了してしまい、
現在日本ではカートレインは走っていません。
原因としては、使用する貨車の大きさの都合もあって、
積み込める自動車にサイズ制限があったということ。
基本的には5ナンバー以下の普通乗用車になるのですが、
それでもサイズをオーバーする自動車は乗せることが出来ません。
自動車の燃料であるガソリンは鉄道の荷物では危険物にあたり、
輸送中は最小限にしなくてはなりません。
そして、積み込みや積み下ろしは貨物駅としての設備がある駅でしかできません。
東京都心部では貨物駅の設備がある駅がどんどん少なくなっており、
汐留駅は既になく、恵比寿駅も浜松町駅も現在は旅客専用駅です。
フォークリフト操作など係員の手間もかかるという点もあります。
また、国鉄の分割民営化によって複数のJRになってしまったことも理由の一つ。
寝台特急など、複数のJR会社線をまたがって運行される列車の収益は、
走行距離に応じてJR各社の取り分が決まります。
東京から九州まで走った「カートレイン九州」の場合は、
JR東海やJR西日本は管内の路線距離が長いのでウハウハですが、
JR九州にとっては、九州島内に入ってすぐ終点の東小倉駅に着くので、
取り分が少なく、あまり運行する意味を持たなくなってしまうのです。
(これは日本中でブルートレインが廃止されていった理由の一つでもあります)
取り分のことはJR各社間の問題なのでなんとも言えませんが、
自動車のサイズは、最近だったらコンパクトカーが流行しているので
載せられそうな車種も多いんじゃないかなーと思うのですが…。
今となってはカートレインに使える客車や貨車がそんなに残っていないでしょうし、
先述したとおり積み込み積み下ろしができる設備のある駅も限られてきます。
あとはカーフェリーとの兼ね合いも…。
手間がかかり採算が合わない列車とはいえ、
「列車旅」と「自動車旅」を両立できるカートレインは、
見方によってはエコロジーでエコノミーな大変面白い試みだと思います。
オワコンやら黒歴史と言われようが、夢のある企画であることは変わりません。
ところで、今週GREENMAXから
『マニ44ユーロライナーカラー』のご案内が届きました。
マニ44とはパレット輸送式の荷物車で、国鉄が作った最後の新型荷物車と言われました。
荷物列車が廃止されると用途が無いため比較的新しい車両にもかからず廃車されていくものがあった一方、
一部の車両はジョイフルトレインのユーロライナーと同じ薄い灰色地に群青帯の塗装に変更され、
「カートレインユーロ名古屋」という列車に使われました。
カートレインユーロ名古屋は、熱田駅~東小倉駅間を結んだカートレインで、
自動車を積み込む貨車にマニ44を使い、
乗客が乗る客車にはなんと12系ユーロライナー客車の個室車を使ったという、
カートレインの中では一風変わった列車でした。
GREENMAXでは、これまでにキットにてマニ44を発売していました(
No.117と
No.902)が、
どういうわけか他の客車より車高が高いというエラーがありました。
(解決方法は、ボディと床板を留めるリブ部分を一部削れば良いそうですが)
今回、完成品として改めてリリースするにあたり、
従来品の一番の問題点であった車高が高い点については改善、
その他は車番印刷済みになるなどもいくつかの改良が実施されるとのことです。
このマニ44ユーロライナーカラーの発売により、
カートレインユーロ名古屋が再現できるわけです。
編成を組むのに必要なものをリストアップしてみました。
●
JR EF65-0形 電気機関車 (112号機・ユーロライナー色) (TOMIX)
●
JR 12-700系客車ユーロライナーセット (7両セット) (TOMIX)
●
JR客車 スハフ12形 (TOMIX)または
スハフ12 (KATO)
●
マニ44 ユーロライナーカラー (4両セット) (GREENMAX)
●
機関車用トレインマーク完成品 Part5 (S7018) 4個入り (MoriyaStudio)
なぜスハフ12の単品が…と思われる方もいらっしゃると思いますが、
電源車不足の関係でふつうのスハフ12が1両連結されていることもありました。
そしてモリヤスタジオのS7018には、
カートレインユーロ名古屋のトレインマークが収録されています。
これらをそろえればほぼ完ぺきにカートレインユーロ名古屋ができあがると思います。
さて、マニ44ですが、もちろんノーマル仕様のものも発売予定です。
こちらは
1両単品、
2両セット、
4両セットの3形態での発売予定ですので、
再現したい荷物列車に合わせてお買い求めください。
他のカートレインについても、
どんな編成だったのか調べてみると面白いかと思います。
それでは今日はこの辺で。
担当:カピの塚@
MICRO ACEの「カートレインさっぽろ」セットは扉のギミックが面白かった。