――マッハ3で飛ぶ戦略偵察機

●「SR-71 ブラックバード」は1960年代、ロッキードによって極秘に開発された戦略偵察機だ。
●8万フィートという超高高度を、燃えるような熱の塊となって、マッハ3の超音速でかっ飛ぶような偵察機が、なぜ生まれたのか。
●SR-71を生み出すきっかけとなったのは、スパイ偵察機U-2の後継機計画だったが、そこで出された要求は、
・高度90,000フィート(27,430m)を飛行できる
・マッハ3で飛行する
・レーダー断面積(RCS)が10㎡未満、5㎡未満ならなお良い
この条件を満たすために開発されたのが、CIAのA-12と、その空軍版SR-71だ。
●結果、超高々度を飛行するゆえに偵察可能エリアは広く、超高速ゆえに地対空ミサイルや迎撃機をかわすことができる、冷戦時代のアメリカを象徴する贅沢な偵察機として誕生することになった。
●またA-12時代から、ベトナムや北朝鮮への偵察ミッションのため日本の嘉手納基地に配備されていたSR-71は、往年の軍用機ファンにとって非常になじみ深い機体でもある。
●さらに,、現代ステルス戦闘機F-22ラプターとF-35ライトニングIIを生み出したロッキードマーチン・スカンクワークスの初期のステルス技術が随所に採り入れられ、開発当時は珍しいチタン合金が使用されるなど、50年以上前の機体ながら、そこには数々の現代最先端技術のルーツが詰まっている。
●この本は「ハブ」プレーンの異名をもつ、ユニークで謎多きSR-71ブラックバードの魅力を凝縮した1冊だ。