水面表現素材セレクション

鉄道模型
カピの塚
水面表現素材セレクション
こんにちは、カピの塚です。

先日、西武鉄道のイベント『西武トレインフェスタ』に行きまして、
351系、5000系、旧101系などをじっくり見物してきました。
E851形やE31形電気機関車のほか、外国製の電気機関車も展示されており、
これはいっそうのこと博物館を建設するべきだと思った一日でした。

会場最寄の横瀬駅は「西武秩父線」にあります。
西武鉄道西武秩父線というように路線名に西武が付くのがミソです。
西武秩父線は山間部を通るため、勾配区間が続きます。
国道299号線と高麗川と並んだり交差したりを繰り返します。
正丸トンネルという日本でも有数の長いトンネルを通ります。

飯能や秩父が晴れていても、横瀬は曇っているなんてこともあり、
鉄道でも道路でもくねくねした長い道のりを進まねばたどり着けないため、
横瀬とは龍の巣に守られた天空の城のような場所に思えました。


さて、車窓から見える高麗川。
非常にくねくねしており、穏やかな流れの部分と、
急な流れになっている部分が見え隠れしています。

高麗川を見ていたら、ふとジオラマに川や湖沼や海を作るときのことを思い出しましたので、今日は水の表現についてのお話です。
(ここまで前置き。長げぇ!)



★水を模した透明シートを使う方法

水の流れや波模様の再現がうまくできない、という方におすすめなのは、あらかじめ波が再現された透明シートがあります。主に下記の5商品をホビーサーチではお取扱いしていますが、これらを適宜ハサミなどで切り抜き、設置します。貼り付ける前に、水の色の下地を用意しておくことをお忘れなく。

KP-46 波板シート by 河合商会

OP-750 なみいたくん (2種類入り) by オオクボ(岡本企画)

60850 水面シート 湖沼用 by NOCH

60851 水面シート 海面用 by NOCH

791 水面シート by FALLER



★透明板と木工用ボンドの併用

これは、先ほどの波が再現された透明シートを使わずに水を表現する方法で、昔からある手法です。

水のある場所の下地を作って色を塗り、そのうえから普通の透明なアクリル板プラ板をかぶせるという方法です。表面が平べったいので、スケールプラモのウォーターライン系の船を置きやすいです。

水の流れが全く無い場所(堀や溜池)なら、そのままで大丈夫かと思いますが、水の流れや波を再現する場合には、さらに木工用ボンドを塗ってたり盛ったりして水面の動きを再現します。


★絵の具を使う方法 (その1)

川や海などをいっそうのこと絵として描いてしまえ、という手です。ジオラマやレイアウト上において、深い地形が造成できず、平面において再現する際などに用いられます。

基本的には、普通の水彩絵の具アクリル絵の具を使って描いていきましょう。緑系や青系の絵の具を中心に使いますが、水しぶきや泡のようになっている箇所には白い絵の具を使うことで勢いを再現できます。また、同じ色でも暗い色と明るい色を使い分けることで深さを再現することが可能です。これらの絵の具は、画材店や文房具店で売っていますし、小学校や中学校のときに図工や美術の時間で使ったものが残っている方はそれを使うというのもありです。

★絵の具を使う方法 (その2)

絵の具でも、もっと透明感が欲しい、という方にはグレインペイント“アクアシリーズ”をおすすめします。グレインペイントは水性アクリル塗料ですが、乾くと水に溶けなくなるという特徴があります。筆やヘラなどで簡単に塗ることができ、とても便利です。もともと地面や草地の再現用のシリーズだけでしたが、後から水面を再現する“アクアシリーズ”が加わりました。

“アクアシリーズ”は、半透明の色を中心としたシリーズで、水の質感をリアルに再現することができます。従来のグレインペイントと同じく筆やヘラで波模様を作り出すこともでき、まるで水が波を打ったまま固まったように見えます。

水性グレインペイント 【アクアシリーズ】 3色セット グリーンシリーズ by ターナー色彩

水性グレインペイント 【アクアシリーズ】 3色セット ブルーシリーズ by ターナー色彩

水性グレインペイント 【アクアシリーズ】 3色セット マッドシリーズ by ターナー色彩


あまり深い地形を作れない場合において、透明感のある水の表現が可能です。


★そのまんま流し込む素材を使う方法 (その1)

グロスメディウムを流し込むという方法があります。アクリル絵の具に混ぜて光沢感や透明感を出すものです。画材屋さんで取り扱っているものですが、ジオラマ素材用として開発されたグロスメディウムもあります。

DDF水性グレインペイント 『グロスメディウム』 (光沢/60mlボトル×2本入り) by DDF(ディディエフ)&ターナー色彩


先ほどのグレインペイントの仲間のようなものですが、こちらを川などの予定地に流し込んだり塗ったりして、水を表現します。上記はDDFとターナー色彩の共同名義の商品ですが、他の画材メーカーからも同様の商品は発売されています。量や値段などで適宜お好みのものを選びましょう。


★そのまんま流し込む素材を使う方法 (その2)

リアリスティック・ウォーター by WOODLAND SCENICS(ウッドランド・シーニックス)

ウォーター・エフェクト by WOODLAND SCENICS(ウッドランド・シーニックス)


アメリカの情景素材メーカー・ウッドランドシーニックス社から発売されているリアリスティック・ウォーターは、ボトルの中身をそのまま川や海などの予定地に流し込んで水を再現する素材です。加熱を必要としませんから、ベースが発泡スチロールであっても大丈夫です。

同じくウォーター・エフェクトは、水面に発生するさざ波、激流、滝など動きのある表現んを付け加える際に使います。リアリスティック・ウォーターとウォーター・エフェクトは併用して使うのがよさそうです。

リアリスティック・ウォーターとウォーター・エフェクトは日本国内ではKATOが輸入代理店となって流通しています。

★熱で溶かして流し込む素材を使う方法 (その1)

EZウォーター by WOODLAND SCENICS(ウッドランド・シーニックス)


EZウォーターは、ウッドランド・シーニックス社の水表現素材です。

低温溶融透明樹脂のペレットが入っています。お鍋やアルミ皿などに入れて熱すると液状化しますので、熱いうちに川や海の予定場所に流し込みます。熱くなりますからやけどには注意して作業する必要があります。また、流し込む先については、発泡スチロールのベースなど熱に弱い素材を使っている場所は不向きです。

商品として販売されている際には黄色がかった半透明の粒ですが、溶かして液状化させて流し込む作業を終えて再度固まったときには無色透明になります。

こちらもKATOが輸入代理店となり、国内流通しております。

なお、この商品は熱で溶けやすいのが特徴なのですが、今年の真夏の猛暑が堪えたのか、在庫品は粒の形状が丸くなるなど、変形してしまったものが続出しています。輸入代理店のKATOに確認したところ、性能には問題が無いので大丈夫とのことです。

★熱で溶かして流し込む素材を使う方法 (その2)

津川洋行から発売されているのが水の素です。パラフィンを素材としており、湯煎で溶かして液状化させ、川や海の予定場所に流し込みます。融点が低く、65℃となっていますので、ドライヤーや半田ごてを使って形状の修正が可能です。

M-1 水の素 (リバーグリーン) by TGW(津川洋行)

M-2 水の素 (マリンブルー) by TGW(津川洋行)

M-3 水の素 (ナチュラル) by TGW(津川洋行)


商品の状態としては、触った感触としてはカチカチに固くなっています。ちなみに、パラフィンはロウソクの原料などに使われているほか、蝋人形や食品サンプルなどでも用いられる素材です。

★熱で溶かして流し込む素材を使う方法 (その3)

同じく津川洋行から発売されている水の素プロもご紹介しましょう。先ほどの水の素の上位素材で、透明感・湿潤感を追求する方におすすめです。素材はパラフィンではなく塩ビ系となり、融点も高くなります。流し込みが完了して固まった後でも、半田ごてで波の形状に加工することも可能です。

MP-1 水の素・プロ (リバーグリーン) by TGW(津川洋行)

MP-2 水の素・プロ (マリンブルー) by TGW(津川洋行)

MP-3 水の素・プロ (透明) by TGW(津川洋行)


商品の状態ですが、触った感じとしては、ちょっとぶよぶよした弾力があります。MP-1とMP-2はそれぞれ色が最初からついていますが、もっと濃くしたい方は着色用の素材が付属していますのでこれをご利用ください。


★注意★
流し込み系の素材の場合は、流し込む際には気泡が入らないよう慎重に作業する必要があります。さらに完全に固まるまでの間は埃や異物が混入しないよう、カバーをかけるなどして保護をしましょう。
固まる際に多少の収縮や減退が起きる素材もありますので、事前に別のもので試してみることもおすすめします。
作業中に臭いが発生するものもありますので、作業の際には換気に気を付けてください。


と、長くなりましたが、レイアウトやジオラマでの水表現は様々な方法がありますので、環境、予算、経験、好みなど、様々な条件を踏まえたうえでお選び下さい。ここでご紹介した商品・方法以外にも、もっと良いものがあるかもしれませんので、各自研究されることをおすすめします。

なお、これらの作業は自己責任となります。作業中の汚損や負傷その他事故につきましては、メーカー、販売店ともに責任を負いかねますので、十分注意して作業してください。


担当:カピの塚@おお、これはキニナル!!
ユーザー評価
ユーザー評価
この記事の評価は4.36です。
現在11名がこの記事を評価しています。  
カピの塚 の関連記事
発売中の鉄道コレクションのご案内 (近畿・中国・四国・九州)
異国の兄弟
第32回日本鉄道模型ショウレポート 【天賞堂篇】
トミーテック新製品説明会レポート 2013夏 【TOMIX試作品展示編・その1】