前出の飛龍の問題点が改善され非常に組み立てやすくなっている。特に後部飛行甲板の左右の支柱上部をつなぐパーツを加えたことで飛行甲板の取付けを容易にしたアイディアは特筆もの。飛龍では隠顕式探照灯や飛行機揚収デリックの再現など過剰ともいえる演出が目立ったが、それらが省略されてパーツ数が抑えられている点も好感が持てる。アオシマ版とさほど変わらないと思われがちだが、こちらの方が実物の再現度は高い。(アオシマ版で畑中氏の監修が行き届かなかった部分がフジミ版には取り入れられている。)純正エッチングパーツに置き換える部分のバランスも非常に良い。(例:錨鎖甲板のリノリウム部分のエッチングにより塗り分けが容易になっている点など)これほどの良作キットがあまり評価されていないのが不思議なぐらい。隠れた名作と言える。少し気になる点としてはカタパルト設置予定位置が凸モールドになっていることと木甲板のモールドが他キットに比べ浅いためスミ入れで板目を際立たすのが難しいところ。せっかく繋止眼環まで再現しているのにその浅いモールドのため完成後にほとんど効果が表れない点もちょっと残念ではある。
|