今、密かに(?)複数のNゲージメーカーからリリースが予定されている電車があります。
新幹線や特急のような華やかな車種ではなく、毎日の通勤通学など沿線住民の日常の足として日々活躍中の通勤電車です。
それは…。

東京急行電鉄 8500系 電車!

東京急行電鉄(以下、東急)は、東京都と神奈川県に路線を持つ私鉄です。
8500系は、1975年にデビューした東急の通勤型電車です。先にデビューした8000系のモデルチェンジ版として、営団地下鉄(現:東京メトロ)半蔵門線への乗り入れ用として製作されました。東急ではもっとも多い車両数が製作されたグループです。
東急では、アメリカのバッド社との技術提携によって7000系などでオールステンレス車体の電車を誕生させました。その後に登場した8000系や8500系にもその流れが続いています。そのような特徴もふまえ、8500系は1976年に鉄道友の会の「ローレル賞」を受賞しました。これは、通勤型電車として技術が集大成されたことを評価されての受賞です。
8500系は田園都市線を中心に投入され、一時は暫定的に東横線でも運転されていました。2003年からは地下鉄半蔵門線を経由して東武鉄道伊勢崎線・日光線への直通列車にも使われるようになり、埼玉県内でも見る事ができるようになりました。
数年前に新型車・新5000系の導入に伴い、置き換えが始まりましたが、2010年現在でも、田園都市線と大井町線にて活躍中です。なお、この置き換えに伴って、一部の車両は長野電鉄(長野県)、秩父鉄道(埼玉県)、伊豆急行(静岡県)に譲渡されました。これらについては、各鉄道の環境に合わせた改造が行なわれております。

そして特筆すべき事項として、海を渡りインドネシアに輸出(譲渡)された車両もあります。ジャボタベック(ジャカルタ首都圏の通称)にて、通勤電車の「エキスプレス」(急行)と、「エコノミAC」(冷房付き各駅停車)という、運賃が高い列車に使われています。乗車するためには、「エコノミ」(冷房無し各駅停車)の2倍以上の運賃が必要だそうです。
さて、その8500系は今年2010年でデビューから35周年を迎えたわけですが、現在関連する商品をサクッとご紹介いたしましょう。
【GREENMAX】GREENMAXからは純粋な8500系がリリース(一部予定)されています。
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東急 8500系 (基本・5両セット) (組み立てキット)

(発売中)
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東急 8500系 中間車 (増結・5両セット) (組み立てキット)

(発売中)
この二つは「エコノミーキットシリーズ」と呼ばれる、一般的なプラモデルと同様の板状の組み立てキットです。箱組みして、塗装して、ステッカーやデカールを貼って、クリアーコーティングして、窓ガラスと台車と動力ユニットとパンタグラフを取り付けて出来上がり、というような工程で完成させることができます。GREENMAXの板状キットの中では比較的簡単な部類に入ります。
オリジナルスタイルの8500系をプロトタイプとしています(ここでは原形車とでも呼びましょうか)。オマケパーツとして8000系の前面パーツも入っていますので、組み立て方によっては、8000系として製作することも可能です。
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東急8500系 田園都市線 5輌トータルセット (M付き) (基本・5両セット・塗装済みキット)

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東急8500系 田園都市線 増結用中間車 5輌セット (増結・5両セット・塗装済みキット)

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東急8500系 田園都市線 基本4輌編成 (M付き) (基本・4両セット) (塗装済み完成品)

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東急8500系 田園都市線 増結用中間車6輌編成 (増結・6両セット) (塗装済み完成品)

現在ご予約受付中の塗装済みキットと、完成品モデルシリーズです。
塗装済みキットは、基本的な塗装工程が済んでいるため、デカールまたはステッカーなどを貼ってクリアーコーティングを済ませたら、あとは部品を適宜嵌め込んで完成という、工程となります。
今回は、完成品モデルシリーズもリリース予定ですので、組み立てる時間が取れない方には完成品モデルのほうもおすすめです。
ちなみに、先ほどのエコノミーキットシリーズとはプロトタイプが異なります。通称「軽量車」と呼ばれる、第13次製造分以降の車両を再現しています。これらは、バッド社からの技術を踏まえた上で、東急独自の改良によって軽量化を実現したものです。
原形車と軽量車をどうやって見分けるか、ですが、こちらの写真をご覧ください。

これはGREENMAXのエコノミーキットシリーズのパッケージに載っている実車写真なのですが、よく見ると…。

黄色い丸で囲んだ部分、前後の車両で屋根の形(カーブ)や雨樋の高さが違うことにお気づきでしょうか。これがわかると、某コーヒーのCMよろしく、違いが分かる男のなんとやら状態になります。
大雑把に見分け方を言いますと、やや角ばっている屋根が原形車。屋根を丸く処理していて雨樋をやや低い位置に設置したのが軽量車です。このように実物では製造時期によってこのような仕様変更が行なわれたのです。
東急8500系は、田園都市線では10両編成、大井町線では5両編成で運行されています。例えば田園都市線の場合、10両編成中10両全てが軽量車となっている編成だけとは限りません。先頭車を始めとする前後の数両が原形車でその間に軽量車を挟んで10両編成となっているものもあります。
特定の番号の編成に拘ってNゲージを楽しみたい方にとっては、原形車と軽量車の混在というのは、なかなか奥が深いものなのです。2010年現在、10両編成で運行されている8500系は20本超あり、それぞれがどのような組み合わせによって10両編成として成り立っているのか、拘る方は各自調べないとなりません。
これを踏まえると、今回のGREENMAXの8500系軽量車のリリース発表は、軽量車を待っていた方にとっては大変嬉しい知らせとなりました。
【TOMYTEC】東急8500系は地方の私鉄へ譲渡されたものがあり、鉄コレでは長野電鉄8500系と秩父鉄道7000系をリリース予定です。実物は、3両編成で運行できるような改造をはじめ、寒冷地対策やワンマン運転対策などの改造メニューが施されています。
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鉄道コレクション 長野8500系 (3両セット)

長野電鉄8500系は、東急時代とは外観に大きな変化はありません(といったら語弊があるかもしれませんが…)。
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鉄道コレクション 秩父7000系 (3両セット)

一方の秩父鉄道7000系は、帯色の変更、半自動ドアボタンの設置など、明らかに東急時代とは異なる姿になっています。また、鉄コレになる第1編成は、原形車と軽量車が混ざっている編成だそうなので、“違いが分かる男”のパワーを駆使する必要がありますね。
【あまぎモデリングイデア】先ほどの鉄コレと同様に、地方私鉄に譲渡された元東急8500系を、GREENMAXのエコノミーキットと組み合わせて作るためのパーツをリリースしています。
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秩父7000系非貫通前面パーツセット

秩父鉄道7000系の第2編成は、中間車両に運転室を取り付けた“先頭化改造車”です。平べったい独特な形状の正面パーツが入っているセットです。
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長野8500系非貫通T6編成前面パーツセット

長野電鉄8500系のうち、第6編成(T6編成)は中間車両を先頭車に改造した特殊な形態の車両です。ぱっと見た感じはもともとの8500系先頭車によく似ている正面なのですが、運行番号表示器が無いなどの違いがあります。
【バンダイ】人気のBトレインショーティーシリーズに東急8500系が久しぶりの登場です。手軽に8500系を集めて遊びたい方におすすめです。
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Bトレインショーティー 東急電鉄 8500系 (2両セット)

純粋な東急8500系です。試作品の屋根の形状を見ますと、原形車をモデルとしているようですね。Bトレとしては数年ぶりの“復活”となります。
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Bトレインショーティー 東急電鉄 8500系・伊豆のなつ号 (2両セット)

田園都市線用の東急8500系の中には、特別な車体装飾を施している編成が3本あり、そのうちの1本がこの“伊豆のなつ号”です。伊豆急行に転籍した8000系と同じハワイアンブルーの帯が車体に使われています。編成番号は「8614F」と呼ばれており、Bトレ化は初となります。
※ご存知の方も多いかとは思いますが、この8614Fはアニメ版の「らき☆すた」第11話にチラッと出てきたことがある編成です。
※また、ジャボタベックにも同じ色の8000系が在籍していますが、これは東横線時代に「伊豆のなつ号」となり、そのままの装飾で輸出されたためです。長くなりましたが、各社が続々と模型化に挑んでいるということで、この機会にぜひ注目しておきましょう。
担当:カピの塚
最後にネタ画像。

8500系の走る田園都市線で思い浮かべたのがコレでした。