脈絡なく登場しました。ごきげんよう、トメ子です。
本日入荷の飛行機プラモを一つ紹介しましょう。
・
ハインケル He111Z `ツヴィーリング`
一見、二機の飛行機が手を繋いでいるように見えるこちら。実機の建造方法もそんな感じです。
こんなワケのわからない改造などせず、普通に単独で空飛べばいいじゃないと思うわけですが、これにはやむにやまれぬ事情があったのです……。
そもそも単体はハインケル He111と呼ばれる第二次大戦初期に活躍したレシプロ双発爆撃機です。
「双発」というのはエンジンを二つ積んでますよ、という意味です。
当時、ドイツはヴェルサイユ条約によって兵器の開発を厳しく制限されていたのですが、水面下で密かに新兵器の開発を企てておりました。お約束ですね。
そんな裏事情もあってか、このHe111も表向きは民間輸送機として開発されています。
で。何故こんなものを二つ繋ぐことになったのか……と申しますと。
大戦中期ごろに輸送グライダーMe321ギガントという機体が誕生しました。
それまでの主力輸送機・ユンカースJu52を凌駕する性能を求めて作られた機体です。
ところがグライダーというものは基本的に動力飛行ができず、他の機体に曳航して貰わないといけません。
そしてMe321は巨体すぎるあまり既存の飛行機単体では引っ張れないシロモノでした。
当初はメッサーシュミットBf110を3機飛ばして無理やり引っ張る、ということをしていたようですが、危険すぎる飛行方法から専用機を作ろうという話になります。そこで誕生したのが……
このHe111Zというわけです。
2機のHe111を繋げて中央に5つ目のエンジンを増設、ちなみにZというのはツヴィーリング(双子)の頭文字でしょうか。
正直、ここまで
やっつけ仕事……いえ、もっさりしていて飛べるのかと疑問になります。
でもこれが飛ばしてみると案外安定していたというのですから、世の中わかりませんね。
これに遭遇した連合軍パイロットは、あまりの巨体ぶりに仰天して逃げ回ったとか。
ほぼ曳航専用に作られた機体なので戦闘能力もタカが知れていますけれど、それでも見た目のインパクトというのは蔑ろにできないようです。
余談ですが、こやつが一生懸命引っ張ろうとしていたMe321は制空権の確保できない状況では運用が難しく、戦況が悪化するにつれて撃墜される機体も沢山あったそうです……。
先進的な構造を多数取り入れたオモシロ機体だった、という話もあるだけに、どこかのメーカーからキット化されないかしらと思う今日この頃です。
と、いうわけで。
ドイツらしい珍飛行機・ハインケルHe111Zの紹介でした。
明日もホビーサーチを宜しくお願いします!
担当:トメ子@おなかいたいしはやくかえる