こんばんは、カピの塚です。
8月23日(金)・24日(土)に東京ビッグサイトにて開催された、
鉄道模型コンテスト2013(第5回全国高等学校鉄道模型コンテスト)
のレポートの続きです。
▼鉄道模型コンテスト入口看板
今回は「一畳レイアウト部門」のいくつかの作品をご紹介します。
写真のピンボケや撮り忘れ、メモの取り忘れなどございますので、
予めご了承のほどお願いいたします。
【 一畳レイアウト部門 】
900mm×600mmのレイアウトボードを2~3枚使用し、
線路やストラクチャーを配置した作品です。
明確には1200mm×600mm ~ 1820mm×910mmの範囲の広さとなります。
モジュールレイアウト部門と異なり、他のレイアウトとの接続はしないので、
線路配置は完全に自由で、線路のメーカーは問わない他、
高さの制限もありません。
▼杉並工業高等学校 模型工作部・鉄道模型班 (技能賞)
タイトルは「ダイナミック静岡」です。
静岡県の観光名所や名物を一つのレイアウトに表現した作品。
まず、運転台の近くにあるのはJR静岡駅。
▼杉並工業高等学校 模型工作部・鉄道模型班
富士山本宮浅間大社が中央に配置されています。
このほか、美保の松原や浜名湖などもあります。
▼杉並工業高等学校 模型工作部・鉄道模型班
富士山は元々大きいものですから、
デフォルメされていてもこれだけの大きさです。
レイアウトやジオラマにはその土地の要所を、
限られたスペースを使ってうまくデフォルメする技術やセンスが必要です。
一つの県を丸ごと凝縮するというチャレンジは素晴らしいと思います。
▼舞鶴工業高等専門学校 鉄道研究同好会
「震災復興プランニング模型・高層住宅の町づくり」。
津波対策を考えるレイアウトです。
あまりに高い防波堤は景観を損なうほか漁業への悪影響が懸念されます。
また、完全な高台移転となると山の自然を破壊する恐れもあります。
そこで、海沿いに高層住宅を建設し、
生活や命に係わる施設は高層階に、
津波に流されても支障が少ない施設は下層階に、
設置しようという提案を具現化したレイアウトです。
駅のホームは広場も兼ねて非常に広く作られているのが特徴です。
▼舞鶴工業高等専門学校 鉄道研究同好会
鉄道の線路もこのように吊り橋を主体にして、
津波の影響を受けない構造になっています。
非常にシンプルな造りですが、
未来の街づくりを提案するレイアウトというのは新鮮ですね。
▼岩倉高等学校 鉄道模型部
秩父鉄道をモデルにした一畳レイアウトです。
画面手前は長瀞の荒川橋梁、画面奥は秩父駅を、
それぞれ配置していますね。
▼岩倉高等学校 鉄道模型部
長瀞の荒川橋梁を列車がゆっくり渡る光景は撮影の名所です。
自然豊かな緑をバックに、列車と赤い橋梁、古めかしい橋脚は、
非常に絵になります。
▼岩倉高等学校 鉄道模型部
これは武州荒木駅付近の沿線の幼稚園で
かつて秩父鉄道800系電車が保存されていた光景を再現したものです。
▼岩倉高等学校 鉄道模型部
こちらは秩父駅のホームとヤードです。
秩父鉄道を走る代表的な車両が集まっていますね。
▼岩倉高等学校 鉄道模型部
農作業の休憩をしている人が見えます。
警報機と遮断機の無い踏切が残るのどかな風景です。
▼岩倉高等学校 鉄道模型部
路地裏に屋台がやってきて、親子が買いに来ています。
このようにストーリーが想像できる人形の配置も良いですね。
一畳という限られたスペースに、
実在の特徴や名所となるものをうまく配置していることが伺えます。
▼白梅学園清修中高一貫部 鉄道模型デザイン班 (最優秀賞)
一畳レイアウト部門の最優秀賞は「神様たちのいるところ」。
映画『千と千尋の神隠し』を題材にしたファンタジーな世界を表現した作品。
中央にあるのは神様たちが集う入浴施設「油屋」ですね。
その周囲をNゲージの海原電鉄が周回するレイアウトです。
▼白梅学園清修中高一貫部 鉄道模型デザイン班
良く見ると、コハク川に千尋の靴が流れています。
▼白梅学園清修中高一貫部 鉄道模型デザイン班
油屋でお馴染みのあのキャラクターが線路沿いにいるのもかわいいですね。
▼白梅学園清修中高一貫部 鉄道模型デザイン班
綺麗な花が咲いている…と思ったら、奥の建物は豚小屋です。
もしかして豚にされてしまった千尋の両親もいるのでしょうか…。
▼白梅学園清修中高一貫部 鉄道模型デザイン班
ホビーサーチ社内でも人気のカオナシです。
ビックリするのは、海原電鉄の線路が浸水していて、
そこを列車が通って小さな波が立っていることです。
なんと、この部分は本物の水が張ってあるのです。
物語の設定に忠実過ぎてビックリしました。
▼白梅学園清修中高一貫部 鉄道模型デザイン班
みにちゅあーとで製品化されている、
『千と千尋の神隠し』のストラクチャーは全て建設されており、
油屋の裏手に銭婆の家もしっかりありました。
ストーリーに合わせてストラクチャーが配置されているようですね。
やはり気になるのは、水面を本当に走っている海原電鉄で、
車両には特別な防水加工を施したそうです。
また、線路はショートが発生しないよう、
低い電圧に抑えているとのことです。
鉄道模型の線路を本当に水の中に敷くというのは、
鉄道模型の常識を覆すような技法でしたので、
これを見て驚いた人も多かったのではないでしょうか。
現実世界ではなく架空の世界を模型にしているのも斬新ですが、
限られたスペース内で、物語の世界観を崩さず、
ストーリーに沿う形でのストラクチャーの配置、
今までにない技法の導入など、
様々なポイントがこの作品には含まれています。
一畳レイアウトの作品は他にも多数展示されておりましたが、
時間の都合でここまでのご紹介となります。
私も高校時代はNゲージのレイアウトを作る部活に所属していたので、
その当時を思い出してちょっと懐かしい気分になりました。
もちろん母校の後輩たちも出場してましたのでしっかりチェックしてきました。
どの学校の作品も、若い力・若いアイディアが溢れていますので、
今まで見落としていたことを新たに発見する機会にもなるかと思います。
皆様もぜひ次回の開催時には会場で実際に目で見ていただくことをお奨めします。
担当:カピの塚
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鉄道模型コンテスト2013 レポート 【モジュール部門】 (ストレート編)
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鉄道模型コンテスト2013 レポート 【モジュール部門】 (コーナー編)