第37回鉄道模型ショウ2015 レポート【GREENMAX編その1】

鉄道模型
カピの塚
第37回鉄道模型ショウ2015 レポート【GREENMAX編その1】

こんにちは、カピの塚です。
7月の終わりから8月の初めにかけて東京の松屋銀座で開催された「第37回 鉄道模型ショウ2015」のレポートです。
今回は、GREENMAXのブースの展示をご覧ください。

■ E653系1000番代「いなほ」、E653系1100番代「しらゆき」の展示

E653系はもともと常磐線の特急「フレッシュひたち」としてデビューした特急形電車ですが、常磐線へのE657系導入による特急列車の運用見直しが行われた関係で余剰が発生しました。一部の編成は、特急用車両の置き換えが予定されていた羽越本線の特急「いなほ」と、北陸新幹線開業に伴う在来線の新しい特急「しらゆき」に、それぞれ転用が行われました。JR東日本の新潟支社・秋田支社管内は寒冷地であり豪雪地帯でありますので、この管内で運用するための耐寒耐雪改造が行われております。

Nゲージではまだ製品化されていなかったE653系1000番代・E653系1100番代でしたが、このたびGREENMAXから初の製品化となります。

E653系1000番代 いなほ 7輛編成セット (動力付き) (7両セット) (塗装済み完成品)

「いなほ」は7両編成です。実車はもともと「フレッシュひたち」の基本編成用に作られた7両編成を改造のうえ転用したものです。

E657系1000番代「いなほ」のボディです。

E657系1000番代「いなほ」のボディです。シンプルな屋根ですが、パンタグラフがある中間車の屋根は交流電源に対応するための様々な備品が複雑に搭載されておりますので、それらも細かく表現されています。

E657系1000番代「いなほ」の完成状態の見本です。

E657系1000番代「いなほ」のほぼ完成状態の試作見本です。特徴的な先頭形状もしっかり再現されています。

以下、各車両のサイドビューをご覧下さい。
なお試作品ですから、座席パーツに着色されていないなど本番の製品と異なる箇所がありますので、予めご了承ください。

新潟寄り先頭車 クハE653-1007 完成状態の見本です。
クハE653-1007。新潟寄り先頭車です。
車体のカラーリングは、日本海に沈む夕日と稲穂をイメージしたものになっています。

モハE652-1013 完成状態の見本です。
モハE652-1013。
パンタグラフ無しの中間車両です。

モハE653-1013 完成状態の見本です。
モハE653-1013。
パンタグラフ付きの中間車両です。

サハE653-1007 完成状態の見本です。
サハE653-1007。
この車両は乗務員室、車内販売準備室、車椅子スペース、トイレ、洗面所など客席以外の装備が多いため、窓割りが他の中間車両と異なっています。また、乗降用の扉の幅も広めに作られています。

モハE652-1014 完成状態の見本です。
モハE652-1014。
パンタグラフ無しの中間車両です。模型ではこの車両に動力ユニットが装備されます。新型の動力ユニットでは客室内の座席の表現もしっかりなされていることに注目です。

モハE653-1014 完成状態の見本です。
モハE653-1014。
パンタグラフ付きの中間車両です。

酒田・秋田寄り先頭車 クロE652-1007 完成状態の見本です。
クロE652-1007。酒田・秋田寄り先頭車です。
形式名に「ロ」が入っていることでもお分かりのように、この車両はグリーン車です。
常磐線時代のE653系にはグリーン車がありませんでしたので、羽越本線への転用に際してグリーン車に改造されました。
実車は2列+1列のシートになっております。


E653系1100番代 しらゆき 4輛編成セット (動力付き) (4両セット) (塗装済み完成品)

「しらゆき」は4両編成です。実車はもともと「フレッシュひたち」の付属編成用に作られた4両編成を改造のうえ転用したものです。

E653系1100番代「しらゆき」のボディです。

E653系1100番代「しらゆき」のボディです。
こちらも先ほどの「いなほ」と同様に新規設計されたものです。


■ フルモデルチェンジした下回りを見る。

通勤形電車のNゲージ化が中心のGREENMAXにおいて特急形電車が製品化されるのは珍しいため、ついつい車体の造形に目が行ってしまう方も多いかと思います。しかしながら、このE653系1000番代・1100番代のNゲージは下回りも従来製品とな大きく異なる新規設計品となっておりますので、こちらも見逃さないようにしておきたいものです。

フルモデルチェンジしたトレーラー車の特徴

『フルモデルチェンジしたトレーラー車の特徴』と題した展示です。
これは「いなほ」先頭車両の座席パーツと床板・床下パーツをばらしたものです。
鉄道模型では一般的に動力機構が無く自走しない車両を「トレーラー車」と呼んでいます。
トレーラー車の下回りは、座席を表現する部分(座席パーツ)、実車で台枠に相当するシャーシ部分(床板パーツ)、床板の下にぶら下がっている機器類を表現した部分(床下機器パーツ)、走行に必要な車輪を擁する台車部分(台車パーツ)などによって構成されています。

差し替え式の床板車端部

床板は車体中央が共通部品で、先端部分が差し替え式になっています。
汎用的な車両の場合は先端部分も汎用的な部品が取り付けられますが、E653系の先頭車のように独特な先頭形状をしている場合には先端部は専用品が取り付けられます。

台車支持方法はスナップ式

写真左隅の丸囲みは車輪やカプラーが取り付けられていない状態の台車枠です。
写真中ほどで丸囲みしているのは台車枠を支持する部分にご注目いただきたいのですが、従来のGREENMAX製品の台車はピン止めかネジ止めだったのですが、E653系ではスナップ止めになっていることがわかります。
見た感じではK社のスナップ止め方式によく似ています。

みんなが気になる新型動力ユニット

動力ユニットとは、線路から車輪を介して電気を受け、内蔵されたモーターを回転させ、そこから台車へ動力伝達を行うという機構を持った部分で、Nゲージに限らず線路から電気を供給する方式の鉄道模型の車両が自走するために必要な部品であります。Nゲージ鉄道模型においては、電車や気動車の場合は、1編成の中に1両が動力ユニットを装着した“動力車”として設定されます。

そして、このGREENMAXのE653系の動力ユニットは、恐らく皆様が一番期待しているであろう新型の動力ユニットであります。
真っ先にご注目していただきたい箇所は、上面がほぼ完全にフラットになっていることです。上面が低い位置でフラットになることで、車両の窓にかからないため、外から窓を介して車内を見ても動力ユニットが目立ちません。つまり、内装表現の自由度が増し、よりリアルな内装を再現できるようになるのです。

GREENMAXの従来の動力ユニットは、部品や構造の都合でモーターやウェイト(ダイキャスト)が車内の窓から見える位置にまで来ていたために内装の表現に支障を来たしていましたから、これは大きな進歩です。

動力ユニットの車端部も差し替え式

先ほどのトレーラー車の床板と同様に、新型動力ユニットの先端部も差し替え式になっています。これにより車長や形状の異なる様々な車種に対応できるようです。
良く見ますと、K社のボディマウントタイプのカプラーが取り付けられそうな4つの小さな穴と、T社のボディマウントタイプのカプラーが取り付けられそうな小さな2個の出っ張りが見えますので、もしかするともしかするのかもしれません。

動力台車と台車枠は3点の差込穴で取り付け

この写真では新しい動力台車と台車枠を丸囲みしています。
動力台車から動力ユニット中央のモーターに向かってシャフトが伸びていますので、従来のGREENMAXの動力ユニットとは動力伝達方式が異なることがわかります。

また、動力台車そのものは共通部品で、側面に台車枠を取り付けることで、様々な形式の台車を表現するようです。
動力台車の側面にある3点の穴が台車枠を取り付けるためのものなのですが、T社の鉄道コレクションの動力ユニットとよく似た方式に見えます。

新しい動力台車

こちらの写真では動力ユニットから取り外した状態の動力台車に丸囲みをしております。
新しい動力台車では上面には動力ユニットの支持部分と電気的な接点の金具が出ている非常にシンプルな構造になっています。
従来のGREENMAXの動力ユニットを分解した経験がある方はご存知かと思いますが、従来の動力台車の上面には動力ユニットとの電気的・物理的な結合部分と、円筒ウォームと噛む為のギアが出ていました。

新しい動力ユニットの動力台車支持部分

こちらの写真では、動力ユニットをさかさまにして動力台車を取り付ける部分をご覧いただいております。
中央に動力台車を支持する部品、その両脇に電気を通すための金具が2本あります。
お話しによれば、動力台車を支持する部品には複数パターンがあって、それを変更することで台車間距離を変えるようです。

シャフトは長さの違いで複数設計済み

動力ユニットの構造を示した図解です。
動力台車とフライホイールやモーターを繋ぐシャフトは長さの違いで少なくとも2種類設定されています。これは台車間距離が異なる動力ユニットにおいてはシャフトを差し替えて調整する仕組みのようです。

従来の動力ユニットの動力台車支持部分

こちらは従来のGREENMAX動力ユニットが比較用に展示されていましたので写真を撮りました。
動力ユニット中央部に隠れているモーターから円筒ウォームが前後に出てまして、動力台車支持部のところまで来ています。
こんな構造でした。

E653系1100番代「しらゆき」の床下機器

こちらはE653系1100番代「しらゆき」の床下機器です。
床板の左右に取り付けるという方法はGREENMAXの従来品と同様です。

これも新しい動力ユニットのサンプルです

床下機器を実際に取り付けた状態です。

新しい動力ユニットの走行展示

新しい動力ユニットの走行展示です。
従来のGREENMAXの動力ユニットと比較して静かに走ります。
大きな進歩をしたことが伺えます。

将来、この動力ユニットが分売される際に想定される分売パーツセット

こちらの小袋は、床下機器のランナーと動力台車に取り付ける台車枠が入っています。
将来、もしも新しい動力ユニットが単品で発売されたときに、並行して発売することを想定したパーツセットです。
たとえば、103系の動力ユニットとして使う場合は、モハ103かモハ102の床下機器と、DT33の台車枠をセットするように、床下機器と台車枠に関連性を持たせたパーツセットとして設定することを考えているとのことです。


GREENMAXの新しい時代の到来を実感します。
新型の動力ユニット、大変楽しみになってまいりました。


というわけで今回は、GREENMAXブースの展示のうち、

E653系1000番代 いなほ 7輛編成セット (動力付き) (7両セット) (塗装済み完成品)
E653系1100番代 しらゆき 4輛編成セット (動力付き) (4両セット) (塗装済み完成品)

の2アイテムと、その下回りについてについてご紹介いたしました。



担当:カピの塚



★★バックナンバー★★

第37回鉄道模型ショウ2015 レポート【KATO編】 (2015/08/21)
第37回鉄道模型ショウ2015 レポート【MODEMO編】 (2015/08/27)

ユーザー評価
ユーザー評価
この記事の評価は5です。
現在5名がこの記事を評価しています。  
カピの塚 の関連記事
TOMYTEC商品説明会レポート・4
第32回鉄道模型ショウ2010レポート【ネタバレ編】
ホビーショー関連新商品・鉄道模型編
日本生まれの萌えキャラがスイスの鉄道会社で公式採用!その名は「のぞみ」