第50回全日本模型ホビーショー2010レポート【Nゲージの大御所編】

鉄道模型
カピの塚
第50回全日本模型ホビーショー2010レポート【Nゲージの大御所編】
こんばんは、カピの塚です。
ホビーショーが終わって既に1か月以上経ってしまいましたが、
ぜひ触れておきたいブースがありましたので、
ご紹介しましょう。


KATO

日本のNゲージ界の大御所・KATOです。

現在、KATOではNゲージの蒸気機関車のリニューアルとしてC62に続いてD51の開発を進めていますが、このホビーショーにてついに動く状態の試作品がお披露目されました。

●#2016-1 D51 498
全日本ホビーショー2010・展示品
新しい動力機構が可能にした、
超スロー運転をご覧ください!

・蒸気機関車用 小形コアレスモーター搭載(フライホイール付)
・ギアは第三動輪を駆動、他の動輪はロッド駆動


なにやらスロー運転を強調したポップが展示されておりました。
それもそのはずで、展示ではゆっくりで滑らかな動きを実現していました。

そもそも、通常の鉄道模型(アナログ線)の場合、
動力車をゆっくり走行させるためには
コントローラーのツマミを絞って低い電圧しなければなりません。
その場合、低い電圧がゆえに電力供給が微々たるものとなり、
スローとはいえ、非常にぎこちない動きをしてしまいがちです。
さらに、少しでもレールや車輪の表面が汚れていれば、
それが抵抗となってさらに動きが…。

近年ではフライホイールを搭載したことにより、
低速でも滑らかな動きをする動力車の製品が増えました。
しかし蒸気機関車は機構が複雑ですから、
なかなかスローで滑らかな動きをさせるのは難しいわけです。

全日本ホビーショー2010・展示品

というわけで早速流し撮りをしてみました。
あまり明るくない展示場所ですが、
背景のブレ(進み)具合が少ないことからもお分かりの通り、
かなりゆっくり動いています。
しかも後ろに12系客車が連結されております。

ちなみに、業者日は先ほどのポップの写真のように、
機関車本体部分のみ・炭水車無しの状態で展示されていました。
一般公開日にはこうして炭水車も間に合い、
ほぼ完全体で展示されていたわけで何よりなのですが。


なんとこの試作品、炭水車が無くても走行可能なんです。
「こいつ、動くぞ!」と口にしかけた人がいたとかいないとか。


模型の上では、給電を安定させるため、
機関車の動輪や従輪だけでなく炭水車の車輪からも
電力を得られるようにしているものが多いのですが…。

まさか機関車本体の動輪や従輪のみの給電でも
例のスローで走るっていうんだから驚きですよね。


ちなみに、炭水車とは後ろに固定連結されている箱型の車両のことで、
蒸気機関車が走行に必要な石炭と水を積載しています。
実物のテンダー式蒸気機関車は、
炭水車が無いと燃料補給が出来ないため走行することができません。

炭水車のことを英語でテンダーと呼びますが、
日本語では「伴侶」とか「看護人」といった意味合いにもなります。
テンダー式蒸気機関車において炭水車は永久を伴にする間柄であるため、
機関車本体と炭水車はいわば夫婦である、
という意味が込められているのかもしれませんね。

な~んてことを考えた上で、
炭水車無しで走行していた業者日の試作品を見ると、
奥様の目が届かないところで勝手に旦那がフラフラしているみたいで
違和感を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。


話が脱線してしまいましたが、
発売予定の#2016-1 D51 498の機構は、
KATOの本気を見たといっても間違いありません。


さて、そのほかの展示品も見て周りましょう。

●#14-802-1 富山市内電車環状線 <セントラム> 9000形 9001(白)
●#14-802-3 富山市内電車環状線 <セントラム> 9000形 9003(黒)
全日本ホビーショー2010・展示品

発売が待ち遠しい、セントラムです(#14-802-1 白は11月に発売になりました)。

セントラムは車両と線路設備を富山市が保有し、
運行を富山地方鉄道が行っている路面電車。

環状線は富山市内を反時計回りに運転されています。
今のところ実物は単線なので、展示品のようにすれ違い運転することはありません。
将来乗客が増えて複線化が行われた場合には、
このようなすれ違いの風景も当たり前になるかもしれません。
ちなみに富山市は複線化のための土地も確保してあるそうです。流石だな!


●115系1000番台 新潟色リニューアル車 (3両セット)
全日本ホビーショー2010・展示品

新潟地区ではお馴染みの115系1000番台新潟色リニューアル車。
この複雑な塗装は、モデラーへの挑戦状だと認識しても良さそうですが、
KATOでは発売済みの# 10-583 115系1000番台新潟色とともに、鮮やかに再現しています。
注目しておきたいのはヘッドライト部分で、
昔の115系の製品と異なり、別パーツ化されています。
別パーツ化することで、よりシャープな造形にすることと、
前面の複雑な塗装を実現することを両立させたものと思われます。

ちなみに、#10-808 113系湘南電車 4両セットは、
2回目の生産ロットよりヘッドライトが別パーツ化されました。
お気づきになってましたか?

●#10-831 24系寝台特急「北斗星」デラックス編成 (基本・6両セット)
●#10-832 24系寝台特急「北斗星」デラックス編成 (増結・6両セット)
全日本ホビーショー2010・展示品

北斗星の運行本数の削減に伴って、
JR東日本受け持ち分の客車と、JR北海道受け持ち分の客車を
それぞれ半々にして混ぜて連結しているのが現在の北斗星の編成。
それをKATOでは『デラックス編成』と呼んでいます。
両社の豪華設備を一つの列車で味わえるからデラックスなんですかね。
なんというポジティブな商品名なのでしょう。

写真は手前からカニ24(電源車)とスシ24(食堂車)しか写ってませんが、
トレインマークが白い明りによってクリアに点灯していることが窺えます。

時を同じくしてTOMIXと競作になりますので、仕上がりが楽しみなところです。


●#10-840 E233系3000番台 東海道線 (基本・8両セット)
●#10-841 E233系3000番台 東海道線 (増結・2両セット)
●#10-842 E233系3000番台 東海道線 (付属・5両セット)
全日本ホビーショー2010・展示品

東海道線の東京口ではE231系と211系が主力で、
他に総武快速・横須賀線から拝借してきた3本のE217系が補佐的なポジションで走っていました。
ところが、E217系の更新工事中に予備編成が不足することが判明したことと、
横須賀線の武蔵小杉駅開業に伴う増発によってE217系を横須賀・総武快速線に返還せねばならなくなってしまいました。

そこでその穴埋めとして急きょ作られたのがE233系3000番台。
E233系は中央線、京浜東北線などで活躍中で、
通勤電車仕様のみのグループになるものと思われていました。
まさかここで東海道線向けの近郊電車仕様が登場することになるとは…。
さすがJR東日本、ファンの予想の斜め上を行っていると思った人も多いとか多くないとか。

そんな3000番台は10両編成2本、5両編成2本、合わせて30両しかない小世帯なのです。
TOMIXに続いてKATOからもこうしてNゲージがリリースされました。
予想外の競作となっております。

サンプルの仕上がりのほうはご覧のとおり。
かっこいいですねぇ~。

「E231系とは違うのだよ!E231系とは!」
と言いつつ細かい違いを吟味してください。


ホビーセンターカトー関連

Assyパーツや、ホビーセンターカトーのオリジナル商品の展示もありましたので、サクッとご紹介しましょう。

●#088BL001 ペースト状バラスト (ユニトラックタイプ) 600ml (お徳用サイズ)
●#088BS001 ペースト状バラスト (ユニトラックタイプ) 100ml (お試しサイズ)
全日本ホビーショー2010・展示品

レイアウトやジオラマを作成する際に線路の周辺にバラスト(砂利)を撒いて、
よりリアルな線路を演出する工作をするわけですが、
バラストを撒いてスポイトでボンド水溶液をかけて固着させるという一連の作業が意外と難しいものです。

実際の線路際を観察してその通りにモリモリと盛りたいわけですがうまく盛れない。
ボンド水溶液をかけても薄すぎたり濃すぎたり…でうまく固着できない。
しかもスポイトから勢いよく出しすぎたり気泡の破裂でせっかく盛ったバラストが崩れたァーッ!
なーんていう経験がある方も多いのではないでしょうか。

部活だったらバラスト固着が上手い部員“バラスト職人”に任せちゃえ、
なんてこともできますが個人だったらふつうは自分でやらねばなりませんね~。
これは避けて通れない道です。

そこで、ホビーセンターカトーでは、ペースト状のバラストの瓶詰を発売!
色はユニトラックの道床そっくりなグレーに黒いつぶつぶ。
これを線路の周りに塗ればすぐにバラスト作業ができますね!

全日本ホビーショー2010・展示品

うーん、これは……。
これは作業中でこれから整えるのだろうか。
それとも見学者に指で弄り倒されてしまったのだろうか。

展示中のサンプルはこのような状態でしたが、
硬化時間は30分程度、完全に固着するまでは24時間程度必要なので、
しっかり整えればちゃんとした線路際を再現できるはずです。
ジャムを塗るような感覚で塗ってください、とのことです。

●#28-148 【Assyパーツ】 モハ112非動力床下/台車セット (1両分入り)
全日本ホビーショー2010・展示品

過去の記事(2010/10/15)でも取り上げておりますが、
#10-807 113系2000番台横須賀色の発売に合わせて企画されたAssyパーツセットです。

動力車となっているモハ112の動力ユニット一式とこれをトレードすると、
動力無しの編成を仕立てることができます。
そして、先頭車の台車を増結用のカプラーが付いたものと交換すれば…。

4両+4両の8両編成も再現できますネ!
という商品です。

なお、こちらのAssyパーツは既にご予約を締め切っております。
ご注文ありがとうございました。

●#28-147 【Assyパーツ】 EF64 1000 黒Hゴムセット (1両分入り)
全日本ホビーショー2010・展示品

KATO製EF64 1000番台、およびEF64 1000番台クーラー搭載車を、
今風の雰囲気に近づけるためのパーツセットです。
窓ガラスパーツのHゴムの色は黒になっています。
また、屋根上のモニターも黒っぽいパーツが入っています。

なお、こちらのAssyパーツは既にご予約を締め切っております。
ご注文ありがとうございました。

●#28-146 【Assyパーツ】 EF510-500 緑色碍子
全日本ホビーショー2010・展示品

北斗星の牽引が始まったEF510形500番台。
しかし試運転が始まってみると、
「アルェ―!碍子の色が緑に変わってるジャン!!」
と気づいた人も多かったはずです。

確かに、車輌メーカーから出荷され、
JR東日本に納入されるまでの間は、
屋上の碍子が白でした。
KATOの#3065-1 EF510-500 北斗星色はその時の姿を再現しています。

JR東日本では塩害対策のため碍子にグリスを塗ったところ、
緑色になってしまったのです。

物凄い速さでKATOはEF510-500 北斗星色を模型化しましたが、
それがあまりにも早すぎてしまったのですねぇ。

というわけで。

現在の実際に営業運転を行っている姿にするには、
碍子の色が緑じゃないと…という声にお応えする形で、
Assyパーツ 緑色碍子の発売に至りました。
見た感じではボディの屋根裏から差し込む方式のようです。

これを使って、EF510-500 北斗星色をよりリアルにしましょう!


というわけで、遅れてきたホビーショーレポートKATO編はここまで。
宮沢模型商売繁盛応援セールレポートのKATO編に続く(!?)



担当:カピの塚@秋の機関車フェア開催中。



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