親子飛行機・ミステルS2(※3/16追記有)

プラモデル
トメ子
親子飛行機・ミステルS2(※3/16追記有)
小学生の頃はよく人とつるんでおりました。
ご飯食べるのも、トイレ行くのも人と一緒。

ああ、そんな時期もあったねと、
今ではぼっち飯上等なトメ子です、ごきげんよう。



空を飛ぶのも誰かと一緒が良かったのでしょうか。
世の中にはこんな飛行機があります。


Fw190A-8 & Ju88G-1 `ミステルS2`
やどってる、やどってる


飛行機を2体、まるっと上下に連結した形。
複葉機とはまた違います。

「ミステル」とは、ドイツ語でヤドリギという意味を持ちます。
キットはFw190A-8とJu88G-1の組み合わせですが、
小型機と大型機なら、それ以外の組み合わせも検討されていたようです。

このタイプの親子式飛行機はイギリス等でも研究例が見られますが、
WWII初期、ドイツが勝利を重ねていた頃は見向きもされませんでした。

ですが、戦争の激化によって被害が増えてくると、
正確な誘導技術を伴う精密な目標破壊の手段(※)として
ミステルが考えられるようになったと言います。


ちょっとでっかい小判鮫


小さい方(上)はFw190A-8戦闘機。大きい方(下)がJu88G-1爆撃機。
Fw190A-8側が本体になります。小判鮫もびっくり。


そんなミステル君の開発コンセプトですが、


大型の無人機を巨大爆弾にして、誘導に小型の有人機を使おう!


というものなので、下の機体には誰も乗っていません。



爆撃機にはエア友達を乗せよう


必然的にコクピットが高くなる為、
パイロットが搭乗する際は長い梯子を用いました。

ちなみにミステルの製作は既存の機体を流用・改造したもので、
特にJu88G-1は当時既に型落ち気味の機体だったという
材料的にはとてもエコロジーなものでした。




ハセガワさん的にもエコロジーなのかは定かではありません。
(主に金型の面で)





このミステル、無人機は特攻しますが、
有人機は帰還のことまでちゃんと考えていました。

切り離す直前に無人機の燃料を有人機側に移すことで、
有人機の燃料は満タンになりますし、
その後は単独で戦闘機として運用できるという安心設計。


片道燃料で有人機そのものを突っ込ませる日本とは大違いです。

(※3/16追記:この片道燃料というのは俗説ではあるまいか、というご指摘を頂きました。
当時の日本軍が燃料を倹約していたのは確かですが、確かにギリギリの燃料しか積まないのは任務遂行に支障を来たしますし、特攻機に与えられた燃料が過度に少なかったということは無かったようです。改めて不勉強をお詫び申し上げます。)


そしてさよならエア友達


機体自体は再利用の多いミステルですが、
密かに当時最新の技術が盛り込まれておりました。

操縦はFw190A-8側で担う為、Ju88G-1の制御は無線と電気信号で行っています。
これは当時最先端の「フライ・バイ・ワイヤ」です。

当時は機械的(物理的)な制御が主流であり、
パイロットが操縦桿やペダルに与えた操作が直に反映されるものでした。

しかし電気信号を使うことで、コンピュータが介在できるようになり
姿勢制御を始めとする飛行の安定、ひいては生存性の向上に繋がっていくという
飛行機の進歩には欠かせない技術、それが「フライ・バイ・ワイヤ」です。

ちなみに機体同士は有線でも繋がっておりましたから、
そちらで誘導することも可能でした。



しかしミステルが活躍する機会はそう多くありませんでした。
多少は実戦投入されたものの、戦況が悪くなる中、
制空権が得られない状況では使いづらかった点も考えられます。
(目標にぶつける前に落とされては元も子もありませんし。)


それでもドイツ軍の発想は時として奇抜にも見えますが
やはり秀逸だったのだなとつくづく考えさせられます。


フライバイワイヤは本当にすごいよ


そんなこんなで、発売されてから若干間を置いてしまいましたが
ドイツ軍の面白兵器・ミステルの紹介でした。


来週もホビーサーチをよろしくお願いします!



担当:トメ子@オラに元気をわけてくれー



(※:当時、艦船攻撃には約27機の編隊を必要としていましたが、
ミステル(が引っ張る巨大爆弾)ならば、
理論上、1機のみで艦船の撃破を狙えました。)
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