手持ちの写真で振り返る ~ 2005年の秩父鉄道広瀬川原車両基地公開イベント

鉄道模型
カピの塚
手持ちの写真で振り返る ~ 2005年の秩父鉄道広瀬川原車両基地公開イベント

こんにちは、カピの塚です。
3か月ぶり?の登場です。


現在ご予約受付中のMICRO ACEの2014年7月度予定品に、
秩父鉄道 デキ500形 青 と、
秩父鉄道 デキ200形 グリーン があります。

手持ちのアルバムから実車の写真をみつけましたのでご紹介したいと思います。

秩父鉄道では2005年より年に1回、秩父鉄道広瀬川原車両基地(熊谷工場)の一般公開イベントを開催しています。
その名も「わくわく鉄道フェスタ」です。

以下は、2005年6月に開催されたイベントで撮影したものです。
(第1回の時は「わくわく鉄道フェスタ」という名前がまだ無かったような…)
通常では立ち入ることができない位置から撮影しております。

2005年の秩父鉄道イベントから
▲左からデキ502、デキ107、デキ201 (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

秩父鉄道は現在でも貨物輸送が盛んな私鉄です。
電気機関車が活躍しており、展示機も代表的な3形式が並んでいました。

左はデキ500形で、デキ300形の増備機という位置づけです。
初期形は運転席の窓はひらべったく、後期形はヒサシが付いているのが見分けるポイントです。
偶然にもMICRO ACEから発売予定の秩父鉄道 デキ500形 青 のプロトタイプである502号です。

中央はデキ100形の107号、つまりデキ107
性能など仕様の違いから、101号(引退済み)、102~106号、107号・108号の4タイプに大別され、
この日に展示されていた107号は岩手県の松尾鉱業鉄道から移籍したものです。
東北出身機らしく、運転席窓にはツララ切りを兼ねた大きなヒサシが付いていることや、
屋根上にカバー付きのホイッスルがあるのが特徴です。
Nゲージ・16番ともプラ量産品では製品化されておりませんが、
過去にワールド工芸から真鍮モデルが発売されています。

右はデキ200形の201号、すなわちデキ201
これもMICRO ACEから発売予定の秩父鉄道 デキ200形 グリーンそのものです。
デキ200形は3台が製作されましたが、202~203号は廃車されて三岐鉄道に譲渡されております。
秩父鉄道にはこの201号だけが残っていて、
SL列車「パレオエクスプレス」のサポート機として、
広瀬川原車両基地~熊谷駅間の回送牽引を担当しています。
このため現在は貨物の牽引はありません。
SLパレオエクスプレスの蒸気機関車C58 363号がお休みの時は、
代わりに「ELパレオエクスプレス」として先頭に立ちます。

なお、2013年現在は客車のリニューアルに合わせて実機は茶系の色に変更されています。

2005年の秩父鉄道イベントから
▲デキ502 (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

先ほどのデキ502です。
角度的に1台だけで撮影できたのはこの写真だけでした。

かつて秩父鉄道の電気機関車は茶色の塗装でしたが、
松尾鉱業鉄道から移籍してきた機関車が青地に白帯という装いだったことから、
順次これに合わせて変更が行われていったようです。
デキ500形は登場当初から青地に白帯の塗装となっているのが特徴です。

ちなみに隣に写りこんでいるのは保線の砂利の突き固め作業車の
マルチプルタイタンパー(通称:マルタイ)です。
秩父鉄道では主力の通勤電車1000形と同じ模様にしているのが細かいですね。
なお、2013年現在は7000形・7500形と同様の緑のグラデーションになってます。

2005年の秩父鉄道イベントから
▲トキ512 (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

先ほどのデキ107の後ろに連結されていたトキ512です。
トキ500形は秩父鉄道所有の無蓋貨車で、国鉄のトキ25000形と同形です。
貨物輸送の縮小に伴って多くは廃車されましたが、
災害時の土砂輸送用として残っている2両のうちの1両です。

Nゲージではポポンデッタより番号違いで発売されています。
トキ500 秩父鉄道 (1両)


2005年の秩父鉄道イベントから
▲C58 363 (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

SL列車「パレオエクスプレス」の牽引機であるC58形363号機です。
煙や蒸気をモクモクと出していて、蒸気機関車の雰囲気はまるで生き物のようです。
時々汽笛を鳴らしてくれるサービスもあるのですが、その都度周囲の子供たちがビックリしています。

当時、日本国内で可動状態にあるC58形はこの363号機ただ1台で、
日本全国からC58ファンがパレオエクスプレスの撮影にやってきます。
また東京から一番近いSL列車という触れ込みもあり、
週末の運行日には多くの親子連れがSL列車の旅を楽しんでいます。

ちなみにこの日、12系客車は別の場所で休憩室を兼ねて展示されていました。

このC58形363号機は、MICRO ACEとROUNDHOUSE(KATO)から発売されたことがあります。
MICRO ACEは単品、ROUNDHOUSEは12系客車とのセットでした。

C58-363 パレオエクスプレス
C58+12系 秩父鉄道 「パレオエクスプレス」 タイプ (5両セット)

どちらも人気のため現在品切れ中です。


2005年の秩父鉄道イベントから
▲左から1009F、3001F (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

1000形(左)と3000形(右)が展示されておりました。
この頃は1000形が12編成あり、文字通りの通勤形電車の主力でした。
また3000形は急行「秩父路」として3編成が活躍していました。

この日の展示編成となっていた1000形は第9編成(1009F)です。
1000形は元国鉄101系電車で、首都圏では中央線や総武線などで活躍しました。
秩父鉄道には国鉄・JR東日本から営業用が36両、部品取り用が何両か譲渡されました。

写真の1009Fを構成する3両は国鉄時代は一貫して総武線を走っていました。
後に1009Fは国鉄時代の塗装を再現する企画で、
関西線をイメージしたウグイス色+黄帯になりました。

面白い事に1009FはTOMYTECから鉄道コレクションとして二度も製品化されており、
最初は旧塗装の非冷房だった時代を、二度目はウグイス色になってからの時代を、
それぞれモデルにしています。

鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (旧塗装) (3両セット)
鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (1009編成) 復活ウグイス色 (3両セット)

一方、3000形は元国鉄165系電車を3両編成3本を譲り受け、
自社で改造のうえ急行「秩父路」として使われていました。
この日は第1編成(3001F)が展示のほか、羽生から広瀬川原車両基地までの臨時列車にも使われていました。
ふだんは各駅停車も停まらない広瀬川原車両基地に今日だけ停まるという珍しさもあって、
大混雑をしていました。

165系は国鉄およびJRの急行形電車の代名詞的な存在ですが、
私鉄に譲渡されたのは秩父鉄道のほかは富士急行のみで、
JRから全車が引退した後は大変貴重な存在となっていました。
特に、JRでは普通列車や波動輸送に格下げされてしまったのに対し、
秩父鉄道では運賃の他に急行料金200円が必要な、
正真正銘の急行列車として使われていたのもポイントが高いです。
秋冬の秩父はとても寒いのですが、
3000形はデッキで客室が仕切られており保温性や静音性があって
とても快適でした(個人的な感想です)。

この3001Fの種車は国鉄時代に試作冷房車として作られた編成のため、
他の3000形(3002F、3003F)はもちろん他の165系とも
屋根上のエアコン等の配置が異なってる非常にマニアックなものです。


NゲージではMICRO ACEが3001Fを製品化しております。

秩父鉄道 3000形 試作冷房編成 (3両セット)

また、その前には3003Fも製品化されましたので、見比べると面白いでしょう。

秩父鉄道 3000形 (3両セット)


このイベントの翌年から、3000形は6000形へ置き換えのため順次廃車が始まりました。
聞いた話では内部の配線が老朽化で傷んでおり改修に膨大な費用が掛かるために、
新型車に置き換えざるを得なかったということです。



さて、車両基地の公開イベントでは普段は立ち入ることのできないエリアの見学ができます。
表からは見づらい留置線や整備工場の中などがこの日ばかりは見られます。

2005年の秩父鉄道イベントから
▲都営6000形の部品取り車 (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

秩父鉄道では元・都営地下鉄三田線6000形改め5000形が3両編成4本在籍しています。
なお、2013年現在は3本が在籍・稼働中です。

営業用で稼働している編成の他に、
広瀬川原車両基地の裏手には部品取り用の2両編成が置いてあります。
東京都のマーク、車両番号、行先方向幕が無い他は、都営時代とほとんど変わっていません。
部品取り車は本線上は走れませんので、このようなイベントの時でないと近くでは見られません。

また、元都営6000形は秩父鉄道を除くと稼働状態にあるのは、
熊本電鉄とKRLジャボタベック(インドネシアの鉄道路線)のみです。
都営時代に近い姿を保っているのは秩父鉄道だけとなるとまた貴重です。

2005年の秩父鉄道イベントから
▲トキ506 (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

先ほどのデキ107の後ろに連結されていたトキ512の仲間。
現在も災害時土砂運搬用として車籍を有するトキ506です。
こちらは裏手に留められていました。

2005年の秩父鉄道イベントから
▲テキ100形 (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

テキ100形は袋詰めセメント輸送用の有蓋貨車で秩父鉄道に在籍していました。
三峰口駅の車両公園にテキ117が保存・展示されていますが、
その他にも何両かはこうして広瀬川原車両基地などで保管されています。
ただし、書類上は廃車ですので本線を走ることはありません。

残念ながらテキ100形は今の所はNゲージのプラ完成品には無いようですが、
国鉄には兄弟車のテキ200形も存在していたので、模型化してくれるメーカーさんが現れると良いですね。

秩父鉄道の有蓋貨車で他にNゲージのプラ完成品としてワキ800形があります。

ワキ800 秩父鉄道 (1両)


他にも現在使われていない貨車や、デキ101、500形電車のクハなど、
広瀬川原車両基地には様々な車両が留置されています。

ちなみに、日曜朝に放送される東映製作の特撮ヒーロー番組のロケは、
ここで行われることがよくあり、これらの貨車や電車がテレビに映ることがあります。


2005年の秩父鉄道イベントから
▲会場のすぐ脇を通過する1000形1002F (2005.06.04 広瀬川原車両基地)

第1編成(1001F)と第2編成(1002)は、
運転室の上の無線アンテナが棒状なのが特徴で、
このほかの編成はL字型のアンテナです。

1002Fは後に秩父鉄道のかつての標準色(あずき色ベースの配色)に塗り替えられ、
リバイバル色編成として活躍しました。

鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (1002編成) リバイバルカラー (3両セット)

このほかにもTOMYTECの鉄道コレクションでは1000形をいくつか発売しています。

鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (1012編成) 復活カナリア色 (3両セット)
総武線、南武線、鶴見線、山手線などで使われたカナリアイエローを復元した編成です。

鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (1003編成) 復活オレンジ色 (3両セット)
中央線、武蔵野線、桜島線などで使われたオレンジバーミリオンを復元した編成です。
この編成は2014年3月に引退予定で、これを以って全ての1000形が引退となります。

鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (1001編成) 復活スカイブルー色 (3両セット)
京浜東北線時代を再現したスカイブルーの編成です。

鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (1007編成) 旧塗装冷改車 (3両セット)
1000形のデビュー当時を復元した黄色に茶帯の旧塗装の編成です。
一部ではチョコバナナ色とも呼ばれている配色です。

鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (1008編成) 新塗装 (3両セット)
鉄道コレクション 秩父鉄道 1000系 (新塗装) (3両セット)
1000形の標準色である新塗装車は2回発売されました。
最初に発売されたのは第4編成(1004F)、
細部を精密化した上で改めて発売されたのが第8編成(1008F)でした。




秩父鉄道の広瀬川原車両基地は、それまで一般公開されたことが無く、
この2005年が初めての公開イベントとなりました。

秩父鉄道側が予想していたよりもはるかに多い来客だったらしく、
翌年以降は「わくわく鉄道フェスタ」という名称が付いて、
定期的に開催されるようになりました。

この2005年の第1回イベント、写真をご覧になってお分かりの通り曇り空でして、
日中に架線等の影が車体にかからない点を考えると撮影条件は良かったのですが、
閉場時間の15時頃から夕立に見舞われました。

私は当日当会場限定販売の“広瀬川原駅弁”を行列に並んで買い、
のんびり食べて帰ろうと思っていたのですが急な土砂降りでそうもいかず、
家に持って帰って夕食として食べました。

第1回が途中から悪天候となったことから良い天気の日に開催できるよう、
開催日程を6月から5月中旬に変えて今に至りますが、
会場で子供たちが作ったてるてるぼうずが飾られるのが恒例となりました。
昨年(2013年)もてるてるぼうずの募集が行われていました。

パレオくんやコバトンをはじめ、沿線のゆるキャラもやってきます。
ご当地ヒーローのローカル戦士センガタンやその仲間もやってきます。
誰か雨雲を呼び寄せちゃうパワーを持ってる人がいるんでしょうかね。

イベント内容は開催年によって若干内容も異なりますが、
沿線の名産品の販売から「あの花」グッズの販売、
熊谷のうちわ祭りのお囃子実演やモノマネ芸人のステージなど、
鉄道ネタに留まらない内容盛りだくさんのイベントになっていますので、
お近くの方はぜひ足をお運びください。



担当:カピの塚




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