見掛け倒しのへっぽこ戦車、ノイバウファールツォイク

プラモデル
トメ子
見掛け倒しのへっぽこ戦車、ノイバウファールツォイク
人は見た目が9割などという酷い俗説が御座います。
私は見た目も中身もありません/(^q^)\


これが戦車になるとどうでしょうか。
性能のよい戦車は見た目が多少不格好でも愛されるものです。




では見た目だけで、中身がショボい戦車は……?


というのが本日のお題です。
その名も、「ノイバウファールツォイク」と言います。


WW.II ドイツ軍 ノイバウファールツォイク多砲塔戦車(3-5号車) ノルウェー 1940
わぁ、強そう

こちらは気軽に集めやすいドラゴンさんの1/72スケール完成品。
複数の砲塔から砲や機銃がニョキニョキ生えています。
その数、2門と3挺。

普通の戦車ではあまり見られない重武装っぷりですが、
これこそが多砲塔戦車と呼ばれる奴らです。
(主力戦車として知られるIII号戦車は主砲1門に機関銃2挺です。)

ちなみに「ノイバウファールツォイク」とは
ドイツ語で「Neubaufahrzeug」=新型車両という意味を持ちます。


更にもう一つ。

ドイツ軍 `ノイバウ フォールツォイク` ラインメタル砲塔
……なんて言うわけなかろーが

こちらはトランペッターさんの1/35スケールプラモデル。
今度は別角度でのイラスト画像なので、もう少し構造が判りやすいと思います。


さて。
このいかにも凶悪そうな多砲塔戦車、見た目はとっても強そうです。
敵はビビり、味方の士気は上がるだろうと思えてしまいます。

ですが、ノイバウファールツォイクが生産されたのは
軟鋼製の試作車輌が2輌、防弾鋼製の実用試験車輌が3輌の合計5輌だけで、
量産化されることはありませんでした。




実戦で使えなかったからです。




と、言うのも。
重武装化に伴い重量が増加。当然機動力も減少し、
初期のドイツ軍が戦略としていた電撃戦には使えませんでした。

更に設計が複雑すぎて信頼性に欠けるという評価から、
重戦車に転用することもできず、実戦投入された実用試験車輌3輌のうち、
1輌は故障して自爆処理。もう1輌はKV-1に粉砕され、残ったのは1輌だけでした。


ドイツ軍 `ノイバウ・ファールツォイク` 1号車
このへっぽこ見掛け倒し戦車め!

今度はトランペッターさんのクルップ砲塔バージョン。
砲塔は主砲塔1基と副砲塔2基があり、機銃を1挺ずつ備えた副砲塔は
I号戦車のものと大体同じ形状のようです。


ドイツ I号戦車C型 (VK601)
あ、I号さんは見かけも中身もショボいですよね……

参考までにI号戦車を。
こちらはホビーボスさんの1/35スケールプラモデルです。
I号戦車はそう大きくありませんが、この砲塔が2個くっつき、
更に主砲塔があると考えるとノイバウ君のデカさがお分かりかと思われます。


そんなわけで兵器としてはポンコツ、産廃、ハリボテ同然のものでしたが、
ノイバウファールツォイクには別の使い道がありました。


即ち、外見の派手さを利用したプロパガンダです。




例えば、こんな写真があります。


ノイバウ君の仕事

※Wikipedia先生の画像に飛びます。

ドイツ第三帝国は、こーんな強そうな戦車を
大量生産できるんだぜ!凄いだろー、怖いだろー!


と、いう意味ですが。
よく見ると、量産というより工場のラインに乗せただけだったりします。


又、演説用のとしても使われたようで、
ハリボテにも使い道ってあるのだなぁ、としみじみ痛感させられます。

……スクラップにならなかっただけでもマシなのかもしれません。


そんな見掛け倒しのノイバウファールツォイク。
今年の夏頃から各社より次々と発売されており、ちょっと旬なアイテムです。

ドイツ軍のAFVが好きな方はいかがでしょうか?


と、言うわけで。
あっさり気味ですが、本日はこれにて!
来週もホビーサーチをよろしくお願いします。

担当:乾燥肌トメ子@冬は、かゆい……







■ちょっとだけ与太話■

余談ですが、多砲塔戦車はドイツ以外でも開発されてました。
しかし、そのどれもが薄すぎる装甲と鈍重な機動力が問題視され、
実用化に至っておりません。

例外として、ロシアのT-28、T-35だけは量産化され実戦運用されておりますが
やはり装甲の頼りなさと足の遅さは否めず、
その巨体から敵の攻撃に晒されやすいものでした。

更に各砲塔に乗員が乗り込むスタイルは、連携が取りづらいといった難点も抱えており
最終的には単砲塔戦車へとシフトしていくことになるのです。
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